首の骨の頚椎(けいつい)は7つから成り前の方に向かって緩やかにカーブしていますが、加齢など様々な原因で異常を来たすことがりあります。
首のトラブルは腕や足にも深刻な症状が出ることがあるので脊椎の専門医を受診して正確な診断を受け、適切な治療を受けることが大切です。
治療を行っても症状が悪化する場合には適切な手術を適切な時期に行う必要があります。




■頚椎椎間板ヘルニアについて

骨と骨の間にあるクッションの役割をしている椎間板が何らかの原因で痛み、椎間板の中にある髄核(ずいかく)と呼ばれるものが飛び出してしまい脊髄を圧迫してしまうことがあります。
脊髄は腕や足などの感覚も司っているため、圧迫を受けると痛みやしびれなどの症状が腕や足に出てしまうことがあります。

椎間板ヘルニアは吸収されて自然に消えることもあります。
神経根ブロック注射で経過観察することで痛みが治まる場合もあります。
脳や脊髄は一度圧迫を受けたり損傷が加わったりすると回復しません。
神経根ブロック注射を行っても効果が不十分で、日常生活に支障が出ている場合は手術を検討したりします。

■顕微鏡下頚椎前方徐圧固定術による手術療法

首の横を3〜4cmほど切開します。
顕微鏡を使いながら飛び出した椎間板などを除去し、人工骨を入れて固定します。
費用の目安は、3割負担の場合は60〜100万円程度、収入と年齢によって違いますが高額療養費制度の適用により10万円程度になります。
手術時間は約2時間、入院は1〜2週間、退院後は装具(頚椎カラーなど)を1ヶ月程度使って首を固定します。
頚椎カラーは入浴時や就寝時以外は着けます。
長期的に見た場合、手術した場所の上と下の椎間板にヘルニアなどの影響が出る可能性があります。

■ストレートネックについて

頚椎(けいつい)は正常であれば緩いカーブをえがいていますが、ストレートネックはこのカーブがなくなり頚椎が真っ直ぐになった状態をいいます。
ストレートネックが原因で頚椎椎間板ヘルニアが起きるとは限りませんが、椎間板が傷むことでストレートネックが起きる可能性はあります。
症状が無い女性でも半数はストレートネックの可能性があるといわれています。

■頚椎椎間板ヘルニアの症状

・首・背中・手・腕・脚の痛みやしびれ
・歩行障害
・尿漏れ

神経の圧迫症状により、力が入らないことによる歩行障害が起こったり、尿漏れなどの症状が起こったりします。

■頚椎人工椎間板置換術による手術療法

ポリエチレンの人工椎間板を上下の金属(コバルトクロム)で固定します。
頚椎人工椎間板置換術は厚生労働省が認可した医療機関に限られます。
顕微鏡下頚椎前方徐圧固定術に比べて退院後の装具での固定が短く1週間ほどで済みます。
費用の目安は、3割負担の場合は60万円程度、収入と年齢によって違いますが高額療養費制度の適用により10万円程度になります。
手術時間は約2時間程度、入院は1〜2週間、退院後は装具(頚椎カラーなど)を1週間程度使って首を固定します。
頚椎カラーは入浴時や就寝時以外は着けます。



■頚椎症性神経根症(けいついしょうせいしんけいこんしょう)について

頚椎の後ろには脊髄が走っていて、その脊髄から腕の感覚などを司っている神経が枝分かれしています。
頚椎症性神経根症(けいついしょうせいしんけいこんしょう)は老化などによって変形した骨が枝分かれする根元の神経根を圧迫している状態です。
そのため腕や背中がしびれるようになります。
頚椎症性神経根症は問診で問題部分を見つけ、MRI、X線、ブロック注射などで確認します。

■頚椎症性神経根症の治療法

軽症であれば首の動きの制限、運動制限、保温、飲み薬(神経障害性疼痛治療薬、消炎鎮痛薬)
ブロック注射、けん引、装具による固定
重度の場合は手術療法(顕微鏡下頚椎前方徐圧固定術など)を検討します。

■首下がり症候群

首下がり症候群とは、首を支える後ろ側の筋肉が局所的に機能が低下して頭を上に持ち上げられずに下がってしまう病気です。
人の体は真っ直ぐ前を向いているだけでも重い頭を後ろから筋肉で引っ張る必要があります。
使われる筋肉は主に頭板状筋(とうばんじょうきん)・頭半棘筋(とうはんきょくきん)・僧帽筋(そうぼうきん)などになります。
筋力が低下したり筋肉が過剰に緊張したりすると機能が低下して頭を支えることが出来なくなり首が上げづらくなってしまいます。
首下がり症候群は70代以上の高齢者に多く起こります。
治療としては凝り固まった首の緊張をほぐしたり、首を支える筋肉を鍛える運動をおこなったりします。
首下がり症候群が悪化すると前を向いて歩けない、嚥下障害などが起こる場合もあるため手術を検討する場合もあります。

■首下がり症候群の原因となる病気

・うつ病
・パーキンソン病
・筋萎縮性側索硬化症

こういった病気が原因となっている場合は、その病気の治療と平行して首下がり症候群の治療を行います。

■首の筋トレ

●首の筋トレ1
仰向けで頭を枕の上に置いて横になります。
アゴを上げて頭頂部を床に近づけるように力を入れます。
頭がタイヤのようにグルッと回転するように頭を動かすのがポイントです。
アゴを下げます。
体全体をリラックスさせて息を吐きながら首を反らせて頭を枕に3秒間押し付けます。
10回を1セットとして1日5セット行います。

●首の筋トレ2
頭を真下に押し付けます。
アゴを引いた状態で行うのがポイントです。
3秒間頭を枕に押し付けたら元に戻します。
10回を1セットとして1日5セット行います。

■首こり・肩こり解消ストレッチ

腰に手を当てて姿勢を真っ直ぐにしてヒジを後ろに下げます。
肩甲骨を内側に寄せながら下げます。
左右の肩甲骨の下の部分が近づくように力を入れ5秒間維持します。
10回を1セットとして1日5セット行います。

■首の治療の名医(2018年10月時点)

国際医療福祉大学三田病院
整形外科部長 脊椎脊髄センター長
石井 賢(いしい けん)先生