原因がわからず3ヶ月以上続く痛みを慢性痛(まんせいつう)といいます。
脳に直接働きかけることで痛みを取る方法が大きな成果を上げています。
認知行動療法による目標の達成感が側坐核の活動アップさせ慢性痛を改善につながっていきます。




■慢性痛(まんせいつう)について

薬を飲んだりマッサージをしても痛みがぶり返す、特に理由がないのに体が痛むなど、こうした痛みが3ヶ月以上続く痛みを慢性痛(まんせいつう)といいます。
慢性痛(まんせいつう)の推定患者数は2300万人といわれています。
原因がないのに体が痛むという人が増えていて、痛みで仕事を休んだり辞める人が増加し、社会的な問題となっています。

■痛みの種類

・原因がある痛み
・原因を治しても残る痛み
・原因がわからない痛み

慢性痛の患者さんは原因を求めて病院を回る傾向にあります。
痛みは本来 動物に備わった危険を回避するための信号ですが正確に働かないことがあります。

■痛みのメカニズム

痛みは頭の中にあるもので、脳の活動が痛みの強さを決めていると考えられています。
痛みを解消するカギは脳にあります。
脳は1千億個もの神経細胞の集まりです。
腰が痛い場合、電気信号が腰から脊髄を通って脳に辿り着きます。
ものすごい速さで痛みの信号が神経細胞達に伝達されます。
痛みを司るのは脳の1ヵ所ではなく、広い範囲が関わっています。

■扁桃体(へんとうたい)の誤作動が痛みを引き起こす

私達が痛みを感じているときは脳の中の扁桃体(へんとうたい)という部分が活発に働います。
どこかに原因があると痛みの信号が脳に送られて恐怖や不安などの負の感情を引き起こします。
痛みが長続きすると扁桃体自体が異常な興奮状態におちいってしまい、痛みの信号が来なくなっても興奮し続けてしまうという誤作動を起こすことがあります。
この扁桃体を鎮めてくれるのが脳の側坐核です。

■脳の側坐核(そくざかく)が痛みを和らげてくれる

最新の研究では、脳には痛みを和らげる働きを持つ場所があるということが分かってきています。
脳の中心近くにある側坐核(そくざかく)という場所が痛みを和らげる重要な場所と考えられています。
痛みの信号が脳に伝わると痛むを和らげる物質を放出して痛みを抑えてくれます。



■認知行動療法(にんちこうどうりょうほう)

認知行動療法(にんちこうどうりょうほう)は世界中の痛み治療の現場で行われていて、最も効果的な手段の一つと考えられています。

■治療目標設定シートによる認知行動療法で慢性痛を改善

治療によって目指したい目標を自分で決めて書き込むものです。
ポイントは簡単にはクリアできない大きな目標と少しがんばればクリアできそうな小さな目標を設定することです。
小さな目標をクリアすることで脳の側坐核(そくざかく)を刺激し、刺激を繰り返すことで少しずつ側坐核が活発になっていきます。
小さな目標の達成感が側坐核を刺激し、繰り返すことで痛みを感じないようになっていきます。

■側坐核の喜ばせ方

・趣味
・目標

得意なことや好きなことは痛みがあっても取り組みやすく慢性痛の改善につながっていきます。
物事に集中して出来たという達成感があると側坐核が活性化しやすくなり慢性痛の改善につながっていきます。
柔軟に物事に対応できる人は慢性痛になりにくいといわれ、まじめな性格の人が慢性痛になりやすいといわれています。
側坐核を活性化して痛みを長引かせない脳を作ることがポイントです。
最新の研究では側坐核は痛みが少し和らいでも活動すると考えられています。

■運動で側坐核を刺激して慢性痛を改善

運動は回数や強度に合わせて目標を決めやすいので効果的です。
ポイントは決まった時間内に達成することです。

運動以外でも自分が好きだと思うことに挑戦し、小さい目標を定めて達成することが側坐核を刺激して慢性痛を改善につながります。

■靴下でひざ痛を改善

靴下を履いた状態で床の上を前後に動かします。
ゆっくりとした動きがひざの炎症を和らげる効果が期待できます。

■慢性痛治療の名医(2018年5月時点)

奈良学園大学 保険医療学部
柴田 政彦(しばた まさひこ) 教授
20年以上にわたって慢性痛の患者を診てきた痛み治療のスペシャリストです。