五十肩は放置しても1〜2年で治ると考えられていましたが、半数ほどの人が軽い痛みが残ったり動きの制限が残ることがあります。
適切な治療を行うことによって短期間に確実治すことが可能となってきているので、症状で困る場合は専門医を受診することが大切です。
五十肩の急性期は適切な治療を行い安静にし、五十肩の慢性期・回復期に医師の指示を受けながら体操などを行うとよいです。
また糖尿病の人は五十肩になりやすいといわれているので、血統のコントロールも大切になります。




■五十肩について

五十肩は四十肩とも呼ばれますが、40代・50代に多く発生します。
40代・50代になると肩の周りの筋肉・腱・関節の袋などの組織がもろくなり、様々なことで肩を使うことが多く、肩は可動域が大きいため組織が引っ張られやすいため組織が損傷して五十肩が起こりやすくなります。
五十肩の多くは数ヶ月で痛みは治まりますが、長引く場合もあります。

肩の関節は上腕骨(じょうわんこつ)・肩甲骨(けんこうこつ)・鎖骨(さこつ)の3つの骨からできています。
特に障害が起こりやすい場所は、肩の前側にある肩甲下筋(けんこうかきん)と上側にある棘上筋(きょくじょうきん)それぞれの腱の隙間部分の腱板疎部(けんばんそぶ)と呼ばれる場所と、上腕二頭筋の長頭腱(ちょうとうけん)で力こぶとつながっている腱です。
この2ヵ所に炎症が起きて固まると腕を外側や内側にひねりにくくなり、背中に手を回す動きや髪を洗う動作などがしづらくなります。

3つ目は上腕骨のボールと肩甲骨の受け皿を包む関節包の下側です。
関節包はやわらかい袋で、その内側から関節の動きを良くする関節液を分泌しています。
4つ目が滑液包(かつえきほう)です。
滑液包は骨や腱の間にある潤滑油が入った薄い袋で、摩擦を防いでくれています。
この2ヵ所で炎症が起きて固まると腕を上げにくくなります。

■五十肩と異常血管

五十肩になると動脈からの異常血管により栄養不足や酸素不足が発生し炎症が持続してしまい、正常な組織修復が遅れてしまうと考えられています。
異常血管の周りには痛みを伝える神経が多く増殖してしまい、それが痛みを持続させる原因となってしまいます。

■五十肩の経過

・急性期
・慢性期
・回復期

五十肩は経過にともない症状の感じ方が変化してきます。

●五十肩の急性期
急性期は痛みは強いですが無理をすれば肩を動かすことができます。
動作時の痛みの他に、安静時や夜間にも痛みが生じます。
急性期の目安は、発症から2週間ほどになります。

●五十肩の慢性期
慢性期では痛みは減りますが、肩を動かしにくくなります。
無理に動かそうとすると痛みがでます。
慢性期は通常6ヶ月程度になります。

●五十肩の回復期
回復期は痛みは軽度で次第に肩を動かしやすくなります。
回復期は通常1年ほどといわれていますが、数年かかる場合もあります。

■糖尿病の人は五十肩になりやすい

糖尿病の人は五十肩になりやすく、治りにくいといわれています。
糖尿病で血糖が高い状態が続くと、関節包などを構成しているコラーゲンが硬くなりやすいと考えられています。
そのため糖尿病の人は血糖のコントロールを正常に保つことが大切になります。



■体操で五十肩を改善

肩を動かしていないのに痛みがあるとき、肩に熱があるときは炎症が強いので体操を行わないようにしましょう。
整形外科を受診している場合は、担当医師の指示通りに行うようにしましょう。

●五十肩改善体操1(肩を上げやすくする体操)
仰向けになりヒザを立てます。
両腕を横に広げます。
そろえたヒザを左右それぞれにゆっくり倒して3秒間保ちます。
ゆっくり戻します。
ヒザを倒すときに両ヒザが離れないように行います。
いた気持ちいいところまで倒し、無理をしないよにしましょう。
この体操により腹斜筋から広背筋のストレッチとトレーニングになり、この筋肉を鍛えることによって肩の動きもよくなります。

●五十肩改善体操2(肩を上げやすくする体操)
安定したテーブルなどを使います。
症状のない方をテーブル側にして横向きに立ちます。
テーブル側の足先をテーブルに向けます。
テーブルに肩幅の広さで手をつきます。
テーブルを両手で押しながら、ゆっくりお尻を後ろに引いて3秒間保ちます。
ゆっくり戻します。これおを繰り返します。
背中や腰を丸めないようにお尻を引くのがポイントです。
広背筋・腹斜筋・大殿筋のストレッチを行うことにより肩の動きもよくなります。

●五十肩改善体操3(肩を回しやすくする体操)
症状のある側のヒジを腕相撲をするようにテーブルに置きます。
反対側の手で手首をつかみ動かないように固定します。
腕を動かさないように上半身を左右に動かします。
体幹を横にスライドするように行います。
この体操により外ひねりする肩の筋肉のストレッチとトレーニングになり、この筋肉を鍛えることによって肩の動きもよくなります。

●五十肩改善体操4(肩を回しやすくする体操)
症状のある側を下にして横向きに寝ます。
下の手を前に伸ばし、ヒジを90度上に曲げます。
反対側(上側)の手で押しながら、それに逆らうように下側の腕を倒します。
元に戻します。
これを繰り返します。
この体操により外ひねりする肩の筋肉のストレッチとトレーニングになり、この筋肉を鍛えることによって肩の動きもよくなります。

■五十肩の治療法

●五十肩の急性期
・薬物療法:非ステロイド性消炎鎮痛薬
・注射療法:ステロイド
・温熱療法:筋肉の緊張をほぐすリハビリ

五十肩の急性期では痛みを和らげるための治療を行います。
薬や注射で痛みを取りながら温熱療法などのリハビリで筋肉の過度な緊張をほぐします。

●五十肩の慢性期・回復期
・関節腔拡張術
・神経ブロック下徒手授動術
・関節包切離術

五十肩の慢性期・回復期では肩の動きを回復する治療を行います。
関節腔拡張術とは、注射を使って縮んだ関節包を膨らませる治療法です。
神経ブロック下徒手授動術とは、エコー画像を見ながら患部の神経をマヒさせてから、医師が外側から肩を動かすことで固まった関節包を裂く治療法です。
関節包切離術とは、内視鏡で覗きながら関節包を切り開く治療法です。