腰痛は成人の3人に1人以上が抱えているといわれています。
腰痛解消のために大切なポイントは、自分の腰痛がどんなタイプの腰痛なのかを知り、痛みの程度がどの段階にあるのかを把握することです。
これにより腰痛の対処法や治療法を見つけ出していくことができます。
腰痛といってもその原因や痛みの出方は様々です。
まず自分の腰痛がどういう位置にあるのかを考えます。
まずは腰痛の症状がどういうものなのか、症状の程度がどういうものかによって腰痛の対処法が違ってきます。
適切な時期に適切な対応をすれば腰痛を長引かせずに治すことが可能です。
一般の腰痛患者の約85%は原因が特定できない腰痛といわれています。
ストレスなどにより脳の機能が低下すると、わずかな刺激でも腰痛として感じてしまう場合があります。




■腰部脊中管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)による腰痛

腰部脊中管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)とは、神経の通り道である脊中管(せきちゅうかん)が何らかの原因で狭くなってしまう病気です。
神経が圧迫されて痛みやしびれなどの症状が起こります。
何らかの原因で特定できる腰痛のうちで3分の1を腰部脊中管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)が占めています。
腰部脊中管狭窄症の患者の多くは60代以上で、高齢になればなるほど注意が必要な腰痛でもあります。

■腰部脊中管狭窄症の症状 ステージ1

腰部脊中管狭窄症の典型的な症状が、寝起きなどの身体の動かし始めに表れる重だるい腰の痛みです。
腰は椎間板(ついかんばん)・関節・靭帯・筋肉など様々な組織で支えられています。
若い頃は伸び縮みするゴムのような弾力性があり自由自在に動けますが、加齢と共に硬く弾力性が失われていきます。
すると寝起きなど身体を動かそうとすると、硬くなった関節や腰周りの筋肉が無理やり引っ張られることで重だるい腰の痛みが現れます。
この状態のとき治療の方向性は、関節の動きを良くしてあげることになります。
関節とその周りの筋肉をストレッチさせることが腰痛の予防・解消に効果的です。

●イスに座ってストレッチで関節と筋肉を和らげる
イスに座り、足を肩幅に開きおじぎをします。
腰の辺りが突っ張るのを感じるところで5秒間キープします。
力を抜き元に戻ります。

頭の後ろで手を組みます。
身体全体を後ろに下げます。
お腹が少し伸びるのを感じながら、少しきつくなったところで5秒間キープします。
力を抜き元に戻ります。

左側にひねり、少しきつくなったところで5秒間キープします。
右側にひねり、少しきつくなったところで5秒間キープします。

以上のストレッチを毎日3回行います。
関節や腰周りの筋肉が伸ばされて、やわらかい関節や筋肉を維持できます。

■腰部脊中管狭窄症の症状 ステージ2

ステージ1が進行してステージ2になると、身体を後ろに反らすと腰痛と両脚のしびれ・痛みが起こります。
加齢に伴い関節が肥大して靭帯も変形し、脊中管はさらに狭くなります。
この状態で身体を後ろに反らすと関節や靭帯が神経を圧迫してズキッとした鋭い痛みと両脚のしびれや痛みが現れます。
狭くなった脊中管を広げることは手術等が必要ですが、体操などで腰全体を安定させて神経の圧迫で起きる症状を軽減することはできます。

●後ろ反らし腰痛の改善体操
仰向けになります。
ひざを軽く曲げて太ももに手を置きます。
おへそをのぞくようにゆっくり頭を持ち上げます。
この状態を5秒間キープします。
元に戻します。
両手を身体の脇に伸ばします。
おへそを持ち上げるようにお尻を上げて5秒間キープします。
この動作を繰り返します。
背骨をあまり動かさないようにして行うと効果的です。
1日1セットを10〜30回行います。



■腰椎椎間板ヘルニアによる腰痛

腰椎椎間板ヘルニアとは、背骨と背骨の間でクッションの役割をしている椎間板の中身が飛び出し、神経を圧迫して腰の痛みを引き起こす病気です。
腰椎椎間板ヘルニアも原因が特定できる腰痛のうちで3分の1ほどを占めています。
椎間板は10代の若い頃は水分をたっぷり含んでいてこんにゃくのような弾力があります。
しかし加齢と共に水分が減ってくると弾力が失われて硬くなってきます。
硬くなった椎間板に必要以上の圧力がかかると腰椎椎間板ヘルニアを起こすと考えられています。

■腰椎椎間板ヘルニアの症状 ステージ1

加齢により硬くなった椎間板の大きな圧力がかかることで椎間板に亀裂が生じてズキッとした激しい痛みが起こります。
さらに椎間板の中身が亀裂に染み渡り炎症が起こって慢性的な痛みが残ってしまいます。
一度起きた椎間板の亀裂は修復されないですが、腹筋や背筋を鍛えて椎間板への負担を軽減することは可能です。
筋肉を鍛えることで腰の痛みの軽減や再発を予防します。

●腰椎椎間板ヘルニア ステージ1 痛み軽減・再発予防体操
イスに座り、姿勢を正してリラックスします。
お腹に力を入れてへこませます。
引っ込めたところで、お腹の横に手を当てて腹筋に力を入れます。
力を入れた状態を5秒間キープします。
力をゆるめます。
1日10回程度行うと腰の痛みの軽減と予防効果が期待できます。

■腰椎椎間板ヘルニアの症状 ステージ2

前屈みになると椎間板の前側に強い圧力がかかり、亀裂を起こしていた椎間板が崩壊して中身が飛び出して神経を圧迫してしまいます。
圧迫されたのが脚の神経だと、脚にしびれと痛みを感じます。
椎間板は左右どちらかに飛び出すことが多いため、片側の脚に症状が出るのが特徴です。
椎間板をへこませれば椎間板への圧迫を軽減できれば腰の痛みやしびれを改善することが期待できます。

●前屈み腰痛の改善ストレッチ(パピーポジション)
腕を曲げてうつ伏せに寝ます。
両腕が垂直になるようにゆっくり上体を起こします。
このとき痛みが出る場合は中止しましょう。
反らしたところで1分間その姿勢をキープします。
楽な姿勢に戻ります。
1分間を1日2回以上行います。
入浴後は身体がやわらかいので楽に行えます。

■脳の機能低下による腰痛

最近の研究により痛みを長く感じている人、痛みを強く感じている人は脳の機能が低下しているということが分かってきています。
脳血流が特に痛みに関係している部位で下がっているということが分かってきています。
身体のどこかに痛みが生じたとき、脳で痛みを抑えてくれる物質を分泌し痛みは徐々に軽減されていきます。
しかし過剰なストレスなどにさらされ過ぎると、痛みを軽減させる物質が減少します。
通常なら感じない小さな刺激や炎症でも痛みとして過敏に反応してしまうことがあります。

●脳のリハビリ治療による腰痛治療
>心理療法
脳の機能を低下させている心理的なストレスを探ります。
ストレスのもととなる出来事を自覚します。
漠然としていたストレスを具体化し、徐々に受け入れられるようにします。

>運動療法
自身や達成感は脳の痛みをやわらげる物質の増加につながります。
これが運動による脳のリハビリの目的です。

痛みの軽減を目で見て分かるようにする。

■腰痛治療の名医(2017年1月時点)

福島県立医科大学付属病院
整形外科学講座兼任教授
大谷 晃司(おおたに こうじ)先生
北海道から沖縄まで日本全国の長引く腰痛患者を、これまで延べ1万人以上治療してきた腰痛治療の名医です。