前立腺癌は症状が出にくいので、早期の段階で自覚することは非常に難しいです。
早期発見のためには、50歳になったらPSA検査を受けることが大切です。
高齢になると前立腺癌のリスクが上がってくるので、定期的な検査も大切です。
早期で発見できれば前立腺癌は完治することが可能な病気です。




■前立腺(ぜんりつせん)について

前立腺(ぜんりつせん)とは、男性だけにある生殖器官で膀胱の下にあり、尿道を取り囲んでいます。
前立腺の役割のひとつは、精液の30%を占める前立腺液の分泌です。
もうひとつの前立腺の役割は、排尿のコントロールです。
前立腺の下にある括約筋(かつやくきん)とともに尿漏れを防いだり、排尿を促したりしています。

■前立腺癌(ぜんりつせんがん)が増えている理由

・食生活の欧米化
 肉や乳製品などの動物性脂肪の取り過ぎ

・高齢者の増加
 前立腺癌の患者は50歳くらいから発見され始め、
 60代から増加して70歳代でピークに達します。

・検査の普及
  前立腺癌を発見できる血液検査が普及してきたことがあります。

■前立腺癌(ぜんりつせんがん)の特徴

・症状が出にくい
・骨に転移しやすい
・ゆっくり進行する

●前立腺癌は症状が出にくい
尿道から離れているものを限局癌といい、早期の癌では前立腺の中に留まっている場合は尿道への影響が少なく、症状があまり出ません。
癌がしだいに大きくなって前立腺を覆う被膜を破ったり、近くの臓器に進行したりするのを局所進行癌といいます。
局所進行癌になっても、尿道から離れているので比較的症状が出にくいとされています。
ただし癌が尿道側、膀胱の方に進行した場合は、頻尿や血尿などの症状が出ることもあります。

●前立腺癌は骨に転移しやすい
局所進行癌は骨に転移しやすいという特徴があります。
骨盤や腰椎に転移して、背中や腰の痛み、足のしびれといった症状が出ることもあります。
こういった症状が出始めて前立腺癌ということが分かることがあります。

●前立腺癌はゆっくり進行する
早期に発見できれば、多くのばあい完全に治すことが可能です。



■PSA(前立腺特異抗原)

早期発見に有効なのがPSA検査という血液検査です。
PSAは血液検査で測る前立腺癌の腫瘍マーカーです。
PSAというのは、前立腺から分泌されるタンパク質で精液の成分となります。
血液の中にも出てきますが、正常ではその量は少しです。
しかし前立腺癌や前立腺肥大症になると、前立腺の組織が壊れることでPSAが血液中に漏れ出てきます。
その量が多いほど前立腺癌である可能性が高くなり、進行している可能性が高くなります。
PSAは血液1mLあたり4.0ngを基準値として、4.1~10.0がグレーゾーン、10.0以上を前立腺癌が疑われます。
ただし基準値とはあくまでも目安であり、正常というわけではありません。
グレーゾーンから詳しい検査をすすめられます。
一般的には50歳以上の男性にPSA検査を受けることがすすめられています。
ただし前立腺癌は遺伝的要因も大きいので、家族歴がある場合は40歳からPSA検査を受けることがすすめられています。

■前立腺癌の診断

・直腸診
 肛門から指を入れて、直腸の壁ごしに前立腺を触って検査します。

・経直腸エコー
 肛門から金属を入れて前立腺に超音波を当てて画像を調べます。
 前立腺の大きさ、内部の構造まで調べます。

・前立腺 針生検(はりせいけん)
 前立腺の組織の一部を取って顕微鏡で調べる検査です。
 前立腺の10~12ヶ所に針を刺して組織を取り検査します。

PSA検査で詳しい検査が必要になった場合は、泌尿器科の専門医を受診しましょう。
加齢にともなって前立腺癌のリスクは高くなってくるので、定期的なPSA検査も大切です。
PSAが1.0以下であれば3年後のPSA検査を受け、1.1~基準値であれば1年後の検査を受けるよういんしましょう。

■前立腺癌の治療

・ホルモン療法
 男性ホルモンが働かないようにすることで癌の増大を抑えます。
 LH-RHアゴニスト(LH-RHアシタゴニスト)を1~3ヶ月に1回注射します

・精巣摘除術
 精巣を取り除き男性ホルモンの分泌を抑えます。

・CAB療法
 抗男性ホルモン薬という飲み薬を併用する治療法です。
 副腎からの男性ホルモンを抑えます。

・間欠療法
 PAS値を診ながら治療と休薬を繰り返す治療法です。

・再燃癌(さいねんがん)への抗癌剤
 ホルモン療法の効果がなくなったような癌を再燃癌といいます。
 ドセタキセルという点滴薬を2~3週間の入院で経過観察して投与します
 その後は3週間に1回の通院で点滴を行います。

・エンザルタミド、アビラテロンなどのホルモン薬

・骨に対する治療
  ビスフォスネート(内服、点滴)、デノスマブ(注射)
  骨の破壊を抑えます。
  放射線 外照射、放射性ストロンチウム(点滴)