首の痛みの多くは重大な原因によるものではなく、無理な姿勢や負担による筋肉の疲労です。
姿勢を良くし、適度な運動を行い、ストレス軽減をすることで大きな心配は必要ありません。
しかし癌の転移など命に関わる重大な病気、神経が圧迫され手術による治療が必要となる病気もあります。
首の痛み以外にも手足のしびれ、歩きにくさなど、脊髄症状を疑わせるような症状がある場合は早めに専門医を受診しましょう。




■首の痛みについて

首の痛みの9割は検査をしても原因がはっきりしないもので、多くは筋肉疲労や精神的なストレスが関係していると考えられています。
首の痛みは首だけではなく、肩の痛み、肩甲骨あたりの痛み、後頭部の痛みも含んでいます。
痛みの原因によっては治療が必要な場合もあります。

■首の痛みの原因

●首の痛みの原因が明らかなもの
・癌
・感染症
・脱臼 ・骨折
・頚椎椎間板ヘルニア
・頚椎症
・後縦靭帯骨化症(こうじゅうじんたいこっかしょう)

●首の痛みの原因が明らかでないもの
・筋肉の疲労
・ストレスなどの健康障害

首の痛みの原因が明らかなものは1割ほどといわれ、病気や外傷が考えられます。
原因が明らかな首の痛みは、原因を突きとめて適切な診断を付け、治療をする必要があります。
原因が明らかでない首の痛みは9割もあるといわれ、正しい姿勢を取ったり、ストレッチなどの適度な運動をしたり、ストレスを溜めないような生活をすれば改善の可能性が高いものです。

■安静時に首の痛みがある時

・癌の転移
・感染症
・骨折・脱臼

細菌が首の骨に病巣を作って骨を壊すと、強い首の痛や手足のしびれ、発熱といった症状が出てきます。
高齢の人、糖尿病の人、癌やリューマチなどで抗癌剤や免疫抑制剤などの投与を受けている場合は注意が必要です。
交通事故、高い所からの転落、スポーツなどでケガをした後に強い首の痛みが出た場合は、骨折や脱臼などの可能性があります。

■頚椎(けいつい)について

頚椎(けいつい)は、背骨の首の部分の骨をいい、7つの椎骨(ついこつ)が積み重なって出来ています。
椎骨と椎骨の間には、クッションの役割を果たす椎間板(ついかんばん)があります。
椎骨の中央部には、脊柱管(せきちゅうかん)というトンネル状の空間があります。
この中を脊髄(せきずい)という神経の束が通っています。
脊髄からは多くの神経が枝分かれしていて、椎骨と椎骨の隙間から外に出ています。
その根元を神経根(しんけいこん)といいます。



■頚椎椎間板ヘルニア(けいついついかんばんヘルニア)

椎間板の中央には、髄核(ずいかく)と呼ばれるゼリー状の物質があります。
椎間板が傷んできて衝撃吸収機能が低下し、上手く衝撃を吸収できなくなると、外側に亀裂が入り、そこから髄核が飛び出すことがあります。
特に神経根に当たると、肩から腕にかけて電気が走るような強い痛みが生じることがあります。
これが頚椎椎間板ヘルニア(けいついついかんばんヘルニア)です。
頚椎椎間板ヘルニア(けいついついかんばんヘルニア)は30代後半から50代くらいまでに多いです。
椎間板は加齢とともに、日常生活などの様々な負担がかかることで傷んでくると考えられています。
20代くらいから加齢による変化が始まるといわれています。
加齢により低下した椎間板は、無理な負担をかけることでヘルニアが発症しやすくなると考えらています。

■頚椎症(けいついしょう)について

頚椎症(けいついしょう)は50代から70代くらいに多く発症します。
椎間板機能が低下してくると椎骨に負担がかかり、椎骨が変形を始めます。
すると骨棘(こつきょく)という骨のトゲが出来てきて、この骨棘が神経根や脊髄を圧迫します。
圧迫が続くと神経が傷んできて、手が上手く上がらない、上手く歩けないという脊髄の圧迫症状が出て来ます。

■後縦靭帯骨化症(こうじゅうじんたいこっかしょう)について

後縦靭帯骨化症(こうじゅうじんたいこっかしょう)は50代で多く発症します。
椎骨をつないでいる靭帯がありますが、その中で脊柱管の中にある後縦靭帯(こうじゅうじんたい)という靭帯があります。
この後縦靭帯が骨になって除々に大きくなり、脊髄や神経を圧迫することで様々な症状を出す病気が後縦靭帯骨化症(こうじゅうじんたいこっかしょう)です。

■脊髄症状(せきずいしょうじょう)

脊髄症状(せきずいしょうじょう)とは、脊髄を圧迫することで出る症状をいいます。
脊髄症状が出た場合、この状態が長く続くと神経や脊髄は機能を回復しにくくなります。
適切な診断や治療を受けることが大切になります。

・両手両足のしびれ、感覚の鈍さ(感覚障害)
・ボタンの留め外しがしにくい(運動障害)
・箸が持ちにくい(運動障害)
・文字が書きにくい(運動障害)
・気付かないうちに階段で手すりをつかんで歩く(歩行障害)
・頻尿(排泄障害)
・尿が出にくい(排泄障害)
・便秘がち(排泄障害)

■神経根症状(しんけいこんしょうじょう)

神経根症状(しんけいこんしょうじょう)とは、神経根を圧迫することで出る症状をいいます。

・肩から手にかけての強い痛みやしびれ
・手や指のしびれ、筋力の低下
・首や肩甲骨周囲の強い痛み

■首の痛みの治療法

首の痛みの治療法としては、保存療法と手術療法があります。
多くの場合、神経根の圧迫だけの場合は保存療法で良くなります。
首や腕の痛みやしびれが弱いといっても、脊髄症状が出ている場合は手術療法が必要な場合もあります。
首の痛みの保存療法としては、生活指導、薬物療法、装具療法、温熱療法、注射療法などがあります。
首の痛みの手術療法としては、椎弓形成術(ついきゅうけいせいじゅつ)、前方除圧固定術(ぜんぽうじょあつこていじゅつ)、椎間孔拡大術(ついかんこうかくだいじゅつ)などがあります。

●首の痛みの生活指導
・首に負担のかからないような姿勢
・ストレッチなどの適切な運動
・ストレスを溜めない生活

●首の痛みの薬物療法
・非ステロイド性消炎鎮痛薬
  炎症を抑える薬です。
・筋弛緩薬・ビタミン剤・血行改善薬
  肩こりがひどい場合に用いられる薬です
・抗けいれん薬
  首の痛みによって過敏になっている神経に直接作用する薬です

●首の痛みの装具療法
首を動かすとひどい症状がでる場合は、頚椎の安定を保つために頚椎カラーで首を固定します。

●首の痛みの温熱療法
首を温めて血行を良くして首の痛みを軽減させます。

●首の痛みの注射療法
痛みを出している神経や、それを支配している筋肉に局所麻酔薬やステロイド薬を注射して炎症や痛みを取ります。

●椎弓形成術(ついきゅうけいせいじゅつ)による首の痛みの手術
椎弓形成術(ついきゅうけいせいじゅつ)とは、圧迫が2ヶ所、3ヶ所とある椎間板ヘルニア、後縦靭帯骨化症などで行われる手術療法です。
首の後ろを切開し、神経を守っている椎弓(ついきゅう)という部分を片側は完全に切り離し、もう片側には溝を作り、扉を開くようにして脊柱管の面積を広くすることにより神経の圧迫を取り除く手術療法です。

●前方除圧固定術(ぜんぽうじょあつこていじゅつ)による首の痛みの手術
椎間板ヘルニアなどが1ヶ所で、神経根や脊髄を圧迫している場合に行われる手術療法です。
前のノドの方を切開し、圧迫している軟骨を切除して脊髄への圧迫を取り除きます。
空いた部分には、骨盤からとった骨や人工の骨を植え、時にはインプラントで固定したりもします。

●椎間孔拡大術(ついかんこうかくだいじゅつ)による首の痛みの手術
神経根の通っている椎間孔(ついかんこう)の部分だけ椎弓(ついきゅう)を削り取って椎間孔を広げます。
削る範囲も少ないので体に負担が少ない手術療法です。