糖尿病は自覚症状がなくても進行していきます。自分に合った血糖値コントロールの目標値を定めてしっかり糖尿病の治療を行っていくことが大切です。
糖尿病の治療には生活習慣の改善、食事療法、運動療法が大切です。




■糖尿病(とうにょうびょう)について

糖尿病(とうにょうびょう)とは、慢性的な血糖、つまり血液中のブドウ糖が常に高い状態になる病気です。
私達は食事をすることでブドウ糖を摂取しています。
ブドウ糖は血液によって全身に運ばれ、筋肉などでエネルギー源として使われます。
また余分なブドウ糖は肝臓などに貯蔵されます。
このとき膵臓(すいぞう)から出るインスリンというホルモンが全身に作用しています。
インスリンが作用して初めて、ブドウ糖は筋肉や肝臓に入っていくことができます。
しかし糖尿病になるとインスリンが十分に作用しなくなります。
そのためブドウ糖は筋肉や肝臓に入っていけず、血液中に多いままになってしまいます。

■糖尿病でインスリンが作用しない原因

糖尿病でインスリンが作用しない原因としては、大きく2つの原因があります。
一つは遺伝的な体質によりインスリン分泌が低下するためで、日本人はこの体質の人が多いということがいわれています。
もう一つはインスリンは分泌されますが肝臓や筋肉に十分効かなくなるという、インスリン抵抗性という状態のためです。
原因は肥満で、内臓脂肪が蓄積するとインスリンの効きを悪くする物質が脂肪細胞から多く分泌されるためとされています。
特に欧米人に多いといわれていますが、最近では日本人でも増え続けていることが分かってきています。

■HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)について

HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)とは血糖の状態を表す数値で、血液検査で分かる糖の状態の指標になります。
過去1ヶ月から2ヶ月の血糖値の平均が反影されるために、糖尿病の治療の成果、また血糖コントロールなどを示す指標として使われます。

■血糖値コントロールの目標値 HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)

 6.0%未満 血糖の正常化を目指す
 7.0%未満 主な合併症を予防する
 8.0%未満 治療強化が難しい場合

これまで40代50代の糖尿病患者も、80代の糖尿病患者も同じ血糖コントロールの目標で評価していましたが、実際の病状にそぐわないケースもでてきたので、日本糖尿病学会で目標値をより分かりやすく3つに整理しました。
血糖コントロールが悪く、慢性の合併症が進行した重症な人は、血糖値コントロールの目標値をいきなり6%や7%を目指すのではなく、まず8%を目指そうということから、3つの血糖値コントロール目標値の指標が設定されています。
個々の糖尿病患者の年齢、糖尿病になってからの年数、患者の活動量などに応じて血糖値コントロールの目標値を定めます。



■糖尿病患者増加の原因

糖尿病は年々右肩上がりで増加していますが、その背景には摂取するエネルギーの摂取量には変化がありませんが、脂肪の摂取量が増えて肥満が増加しているためと考えられています。

■糖尿病の主な合併症

・網膜症(もうまくしょう)
・腎症(じんしょう)
・神経障害
・心筋梗塞
・狭心症
・脳梗塞

血液中に増えたブドウ糖は、全身の血管を傷付けて様々な病気を引き起こします。
これが糖尿病の合併症になります。 大きく分けると、細い血管に起こる合併症と太い血管に起こる合併症に分類されます。
細い血管で起こる糖尿病の合併症には、網膜症(もうまくしょう)、腎症(じんしょう)、神経障害などがあります。

網膜症(もうまくしょう)は目の裏側にある網膜の細い血管が詰まったり出血したりする病気です。
進行すると失明する危険性があります。

腎症(じんしょう)は細い血管の塊である糸球体(しきゅうたい)、つまり腎臓が障害される病気です。
進行すると透析治療が必要になることもあります。

神経障害は抹消の血管が傷付くのに伴い、足先などの神経がしびれたり痛んだりします。
小さな傷が思いがけず悪化して足先を切断するようなこともあります。

太い血管で起こる糖尿病の合併症には、脳梗塞、心筋梗塞、狭心症などがあります。
糖尿病は、高血圧やコレステロールの異常と同じく動脈硬化を進行させます。
そのため脳梗塞は2倍に、心筋梗塞や狭心症は約2倍から4倍起こりやすくなります。
目や腎臓の合併症は良く知られていますが、糖尿病は動脈硬化の原因にもなります。

■糖尿病の診断

空腹時血糖値 126mg/dL以上 → 糖尿病型
       110mg/dL以上 → 境界型
随時血糖値  200mg/dL以上 → 糖尿病型
HbA1c    6.5%以上 → 糖尿病型

糖尿病は主に血液検査で診断していきます。
空腹時の血糖値を測った場合は、126mg/dL以上が糖尿病型に、110mg/dL以上が境界型と判定されます。
境界型とは糖尿病予備軍になります。
境界型は糖尿病の一歩手前だということを理解することが重要です。
特に重要なのは動脈硬化が糖尿病予備軍の段階から進行していることです。
そのため食べ過ぎや運動不足は、糖尿病予備軍の段階から改める必要があります。

随時血糖値は空腹時はどうかを問わずに検査した血糖値のことをいい、200mg/dL以上を糖尿病型と判定されます。

HbA1cが6.5%以上が糖尿病型と判定されます。
この他に診断のために、ブドウ糖を飲んでその後の血糖の上がり方をみる糖負荷試験というより精密な糖尿病検査もあります。
こうした検査の2つ以上で糖尿病型と判定された場合などに糖尿病と診断されます。

■糖尿病の治療法

糖尿病の治療法は2段階に分かれます。
まず初めに生活習慣の改善を行います。
高血糖や肥満の改善につながる食事療法や運動療法が重要になります。
次の段階として食事療法や運動療法でも血糖値が十分にコントロールできない場合には、飲み薬やインスリンの治療を使い血糖値を下げる治療を行います。

■糖尿病の名医(2013年11月時点)

東京慈恵会医科大学 附属第三病院 診療部長
森豊(もりゆたか)先生