アトピー性皮膚炎は痒み・湿疹・炎症が慢性的に良くなったり悪くなったりを繰り返す皮膚疾患。アトピー性皮膚炎には入浴で刺激物質を洗い落とし、保湿外用薬を塗ることが大切。炎症や湿疹にはステロイド外用薬を塗り炎症を抑える。かゆみを抑えるのに抗ヒスタミン薬。重症のアトピー性皮膚炎で、シクロスポリンの内服薬、紫外線療法など。顔や首にはとても効果があるタクロリムス外用薬。




■アトピー性皮膚炎について

アトピー性皮膚炎とは、かゆみ、湿疹、炎症が慢性的に良くなったり悪くなったりを繰り返す皮膚疾患です。
アトピー性皮膚炎は慢性的な疾患なので、どうしても標準的な治療を行っても、良くなったり悪くなったりを繰り返します。
そのため本当にこの治療で良いのか、焦りや不安が起こってきます。
現在の医療ではアトピーの体質を変えることは出来ないので、体質改善を目標にしてもアトピー性皮膚炎を治すことはできません。

■アトピー性皮膚炎の名医(2012年6月時点)

九州大学大学院 教授 皮膚科
古江増隆(ふるえますたか)先生

■アトピー性皮膚炎の症状

・かゆみ
・炎症
・湿疹
・慢性疾患(良くなったり悪くなったりを繰り返す)

■正常な皮膚とアトピー性皮膚炎

正常な皮膚では、角質層が奇麗なバリアー膜を作ってくれています。
そのために身体の中の水分を留めて保湿をしてくれています。
またダニなどの様々な刺激物が、身体に入るのを防いでくれる役割もしてくれています。
しかしアトピー性皮膚炎になると角質層のバリアー膜の機能低下が起こり、水分が出て行き肌が非常に乾燥してしまいます。
また外からのダニなどの様々な刺激物が皮膚の中に入ってきてしまいます。
すると炎症が起こりやすくなってしまいます。
これがアトピー性皮膚炎の状態です。
これはアトピー性素因といわれる遺伝的な体質によるものです。

■アトピー性皮膚炎の環境悪化因子

 ・ストレス
 ・気温
 ・湿度
 ・体調不良

アトピー性皮膚炎を起こしやすい体質や皮膚の状態そのものを根本的に治すことは難しいです。
そのため標準的な治療によって肌を良い状態に保ち、普通に日常生活を送ることができるようにすることを治療の目標にします。



■アトピー性皮膚炎の治療法

アトピー性皮膚炎の治療法としては、保湿や入浴によるスキンケア、ステロイド外用薬などの薬物療法、悪化因子の除去が標準治療になります。
アトピー性皮膚炎の皮膚は、バリアー機能が低下していて水分が失われやすく、乾燥しやすく、さらにアレルギーを引き起こす悪化因子が入ってきやすい状態です。
まず入浴することで汚れなどの刺激物質をきちんと洗い落とし、保湿外用薬を塗ることが大切です。
保湿外用薬を塗ることによって水分を肌に留めます。
このスキンケアはアトピー性皮膚炎の症状の予防効果もあるので、アトピー性皮膚炎の症状が良くなっても続けることが大切です。
また炎症や湿疹があるところには、ステロイド外用薬をしっかりと塗り炎症を抑えます。
スキンケアはやステロイド外用薬などの基本的な標準治療で症状を抑えて、普通に社会生活を送ることが治療の目標になります。
自分だけの判断で様々な治療を試すのではなく、アトピー性皮膚炎を良い状態に保ち、上手く付き合っていくという姿勢が大切だと考えられています。
アトピー性皮膚炎はかゆみが強いので、かゆみを抑えるのに抗ヒスタミン薬が用いられます。
アトピー性皮膚炎が重症の場合は、シクロスポリンの内服薬や、紫外線療法などがあります。

■アトピー性皮膚炎の入浴のポイント

・石鹸をよく泡立てて、手でやさしく洗う
・炎症や傷があるところもしっかり洗う
・ぬるめのお湯でしっかりすすぐ
・タオルで押さえるように拭く

■アトピー性皮膚炎の保湿のポイント

・入浴後は、肌の潤いが残る5分以内に保湿を行うのが目安
・全身の乾燥部にたっぷり塗る
・一日に何回塗っても良い
・季節や体調に応じて保湿外用薬を使い分ける
 夏場の汗をかきやすい時はローションなど、冬場はクリームなどに変える

■アトピー性皮膚炎のステロイド外用薬の使用法

大人の人差し指の先端から第一関節のところまでステロイド外用薬をつけます。
このステロイド外用薬の量をフィンガー・チップ・ユニットと呼びます。
この量で大人の手で2枚分に塗るのが適量になります。
塗る時は、腕や足を縦ではなく、シワに沿って横に塗ります。
身体も横に塗ります。
ゴシゴシ塗るのではなく、やわらかく乗せるように塗ります。
少しベタ付くくらい塗ります。

アトピー性皮膚炎の見た目が良くなっても、アトピー性皮膚炎を起こす細胞は残っているので、まだ炎症がくすぶっています。
そのため最初に必要な量のステロイド外用薬をしっかり塗ってから、それから症状が治まってきたら除々に量を減らしていくことが大切です。

ステロイド外用薬を使うと皮膚が黒くなりますが、これは副作用ではありません。
炎症が治る時の一つの過程なので、治療していくうちに段々と軽減していきます。

●ステロイド外用薬の主な副作用
・皮膚が薄くなる
・毛が多くなる
・ニキビができやすくなる

これらの副作用も症状が良くなっていくと、ステロイド外用薬の使用量や使用頻度が減っていき、次第に元に戻ってきます。

■タクロリムス外用薬

アトピー性皮膚炎の治療薬であるタクロリムス外用薬は、薬の吸収率が良く、顔や首にはとても効果があります。
適量を塗る必要があります。
ただし塗ったところが少しヒリヒリすることがありますが、これは数日塗り続けていると治まってきます。
長時間の日光は避ける必要がありますが、通常の日常生活で浴びる量は大丈夫です。
ニキビやヘルペスが少しできやすいことがあります。
2歳未満の乳幼児、妊娠中・授乳中の女性には使えません。