歯周病は歯と歯茎の隙間にプラークが溜まり歯茎に炎症が起こる病気。歯周病を放置すると進行し歯を失う危険性があります。歯周病の症状が現れたらすぐに歯科医を受診しましょう。




■歯周病(ししゅうびょう)について

歯周病(ししゅうびょう)とは、歯と歯茎の隙間にプラークが溜まり、歯茎に炎症が起こる病気です。
プラークとは歯垢(しこう)のことで、歯と歯茎の境目に溜まるバイ菌の塊です。
歯垢(しこう)1mgの中に1億個以上の細菌がいると言われています。
プラークを放置していると、それが唾の成分で石灰化します。
それが歯石(しせき)になります。
歯周病(ししゅうびょう)は、歯の周りの骨もなくなっていくので、歯を支える土台がなくなって歯がグラグラとしてきます。

■歯周病(ししゅうびょう)チェック

・歯にプラークや歯石がある
・歯磨きをすると歯ブラシに血がつく
・食べ物がよく挟まる
・歯茎が腫れている感じがする

1つでも当てはまると歯周病(ししゅうびょう)の疑いがあります。
歯周病(ししゅうびょう)で恐いのは、進行すると歯を失ってしまうことがあることです。

■歯周病の名医(2012年6月時点)

日本歯科大学 生命歯学部 教授
沼部幸博(ぬまべゆきひろ)先生

■歯周病が進行すると骨が溶ける

歯のブラッシング等の手入れが不十分だと、歯と歯茎の間にプラークと呼ばれる歯周病菌の塊が溜まっていきます。
するとこの歯周病菌によって歯茎に炎症が起こります。
歯茎が炎症を起こして腫れると、歯と歯茎の隙間が深くなっていきます。
これはポケットと呼ばれます。
これが歯周病の最初の段階になります。
歯周病の初期の段階では歯の周りの骨は壊されていません。
しかし軽度歯周炎、中等度歯周炎、重度歯周炎になると歯と歯茎の境目の溝が深くなり、また歯石やプラークが溜まりやすくなっていき、それが段々と歯の根元の方に向かって動いていきます。
炎症が広がっていくのに伴って、骨が溶けてなくなっていきます。

■歯周病(ししゅうびょう)の症状

・朝起きたら口の中が粘つく
 プラークや血、膿などが唾の中に混じるために起こります。

・口臭をよく指摘される
 歯周病菌の一部が臭いの物質を作り口臭を作ります。

・虫歯がないなずなのに歯が染みて痛い
 骨が破壊されているために歯茎が下がってしまっています。

・抜けたままにしている歯がある
 抜けた歯をそのままにしておくと歯磨きがきちんと出来なくなってしまいます。
 そのために歯周病になってしまいます。

■歯周病(ししゅうびょう)の疑いが高い症状

・歯茎が赤く腫れ、さわると血や膿が出る
・歯がグラグラして食べ物を噛み切れない
 歯の周りの土台の骨が壊されてしまうため、
 噛む力を受け止める事ができなくなります。
・歯と歯の間に隙間が広がってきた
 歯の周りの骨が壊されたために歯茎が下がってしまうため隙間が広がります。
・歯が以前より長く見える
 歯の周りの骨が壊されているために歯茎が下がるために起こります。



■歯周病(ししゅうびょう)の検査

・ポケット検査
・X線検査

歯周病(ししゅうびょう)はサイレンとキラーとも呼ばれ、強い自覚症状がないまま進行していることがあります。
気付いた時には歯を抜かなければいけないこともあります。

■歯周病(ししゅうびょう)が関係する病気

心臓病、脳卒中、早産、低体重児出産、糖尿病は、血液に入った歯周病菌や炎症物質が原因となっている病気です。
気管支炎、肺炎は、唾液に混じった歯周病菌が関係する病気です。

●心臓病、脳卒中
歯周病(ししゅうびょう)は動脈硬化と関係があると言われています。
動脈硬化になると血管の位置側にコレステロールが溜まり、コブのようなものが出来て血液の流れが悪化します。
このコブの中には歯周病菌が見つかっています。
血液中に流れ込んだ歯周病菌がコブの中に入り込んで心臓の周りにある血管の壁を狭めてしまい、心筋梗塞や狭心症になっていることが考えられます。
またこのことが脳の血管で起こると脳梗塞や脳卒中になります。

●糖尿病の悪化
歯周病(ししゅうびょう)があると、歯周病の炎症により作られた炎症物質が、歯茎の中の毛細血管に入り全身に散らばります。
すると膵臓が出すインスリンの働きを低下させてしまいます。
すると血糖値が上がり糖尿病が悪化してしまいます。
さらに糖尿病になると全身の免疫抵抗力などが衰えてしまいます。
口の中の唾液も減ってバイ菌が増加し、さらに歯周病が悪化するという悪循環におちいってしまいます。

●早産、低体重児出産
妊娠している人が歯周病になると歯茎の中に炎症物質が増えてしまいます。
この炎症物質が増加すると、赤ちゃんが早く押し出されてしまうことが起きます。

●気管支炎、肺炎
歯周病菌や炎症によって出来た物質が唾液に混じり、気管を通って粘膜に辿り着くと気管支炎や肺炎を引き起こすと考えられています。

■歯周病(ししゅうびょう)の治療法

歯周病(ししゅうびょう)の治療法としては、プラークと歯石を取り除いて炎症をなくすことが基本となります。
歯石を取り除く治療を、だいたい6カ所に分けて行っていきます。
それを行いながら歯磨きの指導も行い、歯周病(ししゅうびょう)の原因であるプラークや歯石がつかないようにします。
軽度の歯周病(ししゅうびょう)であれば、スケーリング・ルートプレーニングで歯石を完全に取ることが可能です。
中等度以上の歯周病(ししゅうびょう)になると、歯周外科治療が必要になることがあります。

●ハンドスケーラー(歯周病の治療法)
ハンドスケーラーという器具を使って歯石を取り除きます。

●超音波スケーラー(歯周病の治療法)
先から水が出ながら超音波振動で歯石を破壊して取り除きます。

●ルートプレーニング(歯周病の治療法)
歯石を取り除いた後にデコボコした歯の表面をツルツルに平らにします。

●フラップ手術(歯周病の治療法)
歯茎を切り開いて、ハンドスケーラーを使い歯石を取り除きます。
歯石を取り除いた後に歯茎を縫い合わせます。
1週間から10日ぐらいで傷口が治ります。

●レーザー治療(歯周病の治療法)
歯茎が腫れてきた部分、その中にレーザーを挿入し中の歯石を削り取ります。
レーザー治療は痛みが少ないというメリットがあります。
麻酔をせず治療ができます。
レーザー治療は一部は保険が適用されますが、基本的には自費になります。

●GTR法・歯周組織再生誘導法(歯周病の治療法)
フラップ手術の後に歯石やプラークを取り除いた部分の歯と歯茎との間に特殊な膜を入れます。
膜を入れた後に歯茎を縫い合わせて治るのを待ちます。
空間には新しい骨・歯根膜・セメント質といった失われた歯周組織が蘇ってきます。
期間は半年から1年程かかります。 GTR法は保険が適用されます。

●エナメルマトリックスタンパク質を使った再生療法
歯茎を開いて歯石を取り除いた後に特殊な材料を歯の表面に塗ります。
エナメルマトリックスタンパク質は、歯の成長のときに使われる歯根を作るタンパク質です。
これを塗ることによって失われた骨・歯根膜・セメント質を元に戻してあげます。
半年から1年様子をみます。
保険が適用されず、自費になります。

●局所的薬物送達療法(歯周病の治療法)
重度の歯周病になると薬を使った治療を行います。
抗菌剤のペーストを歯と歯茎の境目のポケットに入れて強い歯茎の腫れを抑えます。