禁煙成功のためには、タバコの依存性が強い時は禁煙補助薬を使用し一週間ほど禁煙します。その後の禁煙には記憶によるタバコ依存性が強くなってくるので禁煙してよかったという記憶を増やしていきます。家族による禁煙の良さを言ってあげることも大切です。禁煙成功のためには、自分の禁煙失敗の弱点を知り何度も禁煙にチャレンジしていくことです。




■タバコの依存性

喫煙していても4割近い人が止めたいと思っていると言われています。
タバコには依存性があり、ニコチン依存と記憶がもたらすタバコ依存の2種類の依存性があります。

●ニコチン依存
ニコチン依存は脳がニコチンという薬物に依存しているため、ニコチンが切れるとタバコが吸いたくてたまらなくなってしまいます。

●記憶がもたらすタバコ依存
タバコを吸っていてよかったという記憶があるために、同じような状況になるとタバコが吸いたくてたまらなくなってしまいます。

■アセチルコリンとドーパミン

タバコを吸わない人は、元々脳の中にアセチルコリンという物質があり、ドーパミンを放出するようになっています。
しかしタバコを吸う人は、外からきたニコチンが入ってきてドーパミンが出ます。
ドーパミンが出ると気分がすっきりするという形になってしまいます。
そして元々あったアセチルコリンは働きを弱めていってしまいます。
この状態でニコチン切れになると、ニコチン切れでドーパミンが不足するためにアセチルコリンも十分に働かなくなり、ドーパミン不足が決定的になりイライラ、集中できないということが起こります。

■ニコチン切れの症状

 ・イライラ
 ・集中できない
 ・不安
 ・さびしい、むなしい
 ・便秘
 ・眠くなる
 ・タバコが吸いたくてたまらない

■禁煙は3日がピーク

禁煙を始めると、たちどころにニコチン切れが起こります。
そのピークは約3日に来ますが、ここで禁煙を挫折人が多くなります。
しかしそのまま禁煙を続けていると、ニコチンの働きが一週間ほどすると消えていきます。

■禁煙補助薬

禁煙補助薬とは、ニコチン切れをやわらげて禁煙しやすくする薬です。
禁煙補助薬には、口に含むニコチンガム、身体に貼るニコチンパッチ、飲み薬のバレニクリンなどがあります。
タバコを吸っている人はニコチンを補給しているので、禁煙するとニコチンが不足するようになりタバコを吸いたくなります。
そこで少量のニコチンを体内に取り入れることで吸いたい気持ちをやわらげます。
それがニコチンガムとニコチンパッチの働きになります。

■ニコチンガムとニコチンパッチの禁煙補助薬

ニコチンガムはゆっくりと噛んだ後に、30分~1時間くらい頬の内側や歯茎に押し付けます。
そうすることで口の粘膜からニコチンが除々に体内に吸収されていきます。
ニコチンパッチは肩や腕に貼付けて、皮膚からニコチンを吸収していきます。
吸いたい気持ちの強さに応じて、大中小を使い分けます。
標準的には1日に1枚、朝起きたら貼って、夜寝る前に剥がします。
喫煙ではニコチンが急激に体内に入ります。
ニコチンパッチやニコチンガムは、ゆっくりしか身体の中に入らないので、ニコチン依存を生じることはありません。
しかもタバコの中には様々な有害物質が含まれていますが、ニコチンガムやニコチンパッチにはニコチンしか含まれていないので安全性が高いです。
ただしニコチンが含まれているので、使用しながら喫煙するとニコチンの取り過ぎになってしまいます。

■バレニクリンの禁煙補助薬

バレニクリンは脳の中に働いてニコチン切れ症状をやわらげる薬で、ニコチンは含まれていません。
バレニクリンはタバコがおいしく感じなくさせて禁煙してしまいます。
ニコチンガムとニコチンパッチは使い始めたその日から効果があるので、すぐに禁煙したい人に向いています。
バレニクリンは使い始めてから1週間ほどで効いてくるので、ゆっくりと禁煙を始めたい人に向いています。
ニコチンガムとニコチンパッチはニコチンを含んでいるので、脳卒中や心筋梗塞のようにニコチンが悪く働く病気の直後には使用できません。
この場合はニコチンの含まれていないバレニクリンを使用することになります。

■禁煙補助薬の副作用

ニコチンガムの副作用としては、口内炎、胃が重くなるなどがあります。
ニコチンパッチの副作用としては、かぶれなどがあります。
バレニクリンの副作用としては、吐き気、頭痛、眠気などがああります。



■禁煙外来

禁煙外来とは、禁煙相談に乗ったり、禁煙の薬を処方したりするところになります。
禁煙外来をきちんと3ヶ月受診し続けていけば、10人中8人は禁煙に成功しているそうです。
ニコチン依存症と判定されるなどの一定の条件を満たせば、診察に保険診療が適用になります。
禁煙外来では、薬を使っていてもタバコが吸いたくなるときの色々な工夫を指導してくれます。
吸いたい気持ちは1分ほどしか続かないので、じっと我慢するのではなく、どうして紛らわしたらよいかなどを禁煙外来で相談できます。

■タバコを吸いたい気持ちを紛らわす方法

熱いお茶や冷たい氷を少し口に含む。
少し痛みや刺激で気を紛らわせる。
身体を動かす。

■記憶がもたらすタバコ依存

タバコを吸っていてよかったという記憶が働き、同じような状況になった時に無性にタバコを吸いたくなってしまいます。
タバコの記憶に依存している人は、数ヶ月から数年、10年経ってもタバコを吸いたくなってしまいます。
過去に落ち込んだり、仕事が上手くいかなかったりした場面でタバコを吸って乗り越えたという記憶があると、同じような場面になった時にタバコを吸いたくなってしまいます。
また辛い場面だけではなく、奇麗な景色を見たり、子供が受験に受かったなどの嬉しい時にもタバコを吸った記憶があると、嬉しい事が起こった時にもタバコを吸いたくなってしまいます。
人によっては音楽とコーヒーとタバコがワンセットになっていて、音楽を聞くとタバコが吸いたくなったり、コーヒーを飲むとタバコが吸いたくなったりしてしまう人もいます。
こういった記憶がもたらすタバコ依存には薬は効きません。
一度ニコチン依存になった人は、脳の中にニコチンの受け皿が出来てしまっています。
禁煙を続けていくとその受け皿が塞がれていきますが、またタバコを吸ってしまうとあっというまに元に戻ってしまいます。

■禁煙して良かったという記憶を増やしていく

・禁煙して息切れがしなくなった
・禁煙して部屋がキレイになった
・禁煙して肌の調子が良くなった
・禁煙して食事が美味しくなった
・禁煙して長時間の飛行機も楽に乗れるようになった
・禁煙して長い時間映画を見られるようになった

記憶がもたらすタバコ依存を乗り越えるためには、タバコを吸っていてよかったという記憶以上に、禁煙して良かったという記憶を増やしていくことが大切になります。

■タバコによる健康被害

・呼吸器系の病気になりやすい:COPDなど
・癌になりやすい:咽頭癌、食道癌、肺癌など
・動脈硬化を促進する:心筋梗塞、脳梗塞など

■禁煙の成功のための家族の対応

禁煙すると本人にとっては辛い苦しいという気持ちでいっぱいになっているので、そこで家族から禁煙してくれて良かったということを言ってもらうのも大切になります。
言葉で言ってもらうことによって記憶に擦り込んでいくことができます。
禁煙は一回で成功することが良いですが、実際には何度も失敗を繰り返していくうちに自分の禁煙の弱点が分かってきます。
禁煙の弱点が分かると禁煙が上手に出来るようになります。
もし禁煙を失敗しても、あきらめずにチャレンジし続けていくことも大切になります。