不安定狭心症は心筋梗塞への前ぶれの症状。
狭心症は心臓を取り巻く血管の一部が細く狭くなる病。
動脈硬化は冠動脈を狭くし狭心症の危険性が高まります。




■狭心症(きょうしんしょう)

心臓を取り巻く血管の一部が細く狭くなるのが狭心症(きょうしんしょう)です。
胸の痛みが典型的な症状ですが、心臓とは関係ない場所に症状を感じたり、症状をほとんど感じないということもあります。
狭心症(きょうしんしょう)は心筋梗塞(しんきんこうそく)という致命的な疾患につながっていくので、初期診断で出来るだけ早い救命措置というものが必要になります。

■狭心症・心筋梗塞の名医(2012年5月時点)

国立循環器病研究センタ- 心臓血管内科 部門長
安田聡(やすださとし)先生

■狭心症(きょうしんしょう)と心筋梗塞(しんきんこうそく)

心臓は筋肉がポンプのように収縮を繰り返すことで全身に血液を送る臓器です。
心臓自身も冠動脈(かんどうみゃく)という血管から必要な血液や栄養を供給されています。
この冠動脈(かんどうみゃく)が狭くなるなるのが狭心症(きょうしんしょう)です。
血液が不足しやすくなり、胸の痛みなどの症状が出やすくなります。
この冠動脈(かんどうみゃく)が完全に詰まり、その先に血液が行かなくなって心臓の一部が死んだ状態になるのが心筋梗塞(しんきんこうそく)です。
突然死に至る恐れがあります。

■動脈硬化により冠動脈が狭くなる

冠動脈が狭くなる原因としては動脈硬化があります。
動脈硬化は肥満、高血圧、糖尿病、メタボリックシンドロームなどの危険因子と呼ばれるものでが積み重なったときに起きてきます。

■血管けいれんにより冠動脈が狭くなる

血管けいれんにより血液の流れが非常に悪く阻害されてしまいます。
血管けいれんは喫煙者や比較的若い患者に多く、症状は安静時、睡眠中、深夜から早朝に起こることが多いです。



■狭心症(きょうしんしょう)の症状

・胸が締め付けられるように痛い
・肩がこる
・少し息苦しい

●狭心症の典型タイプ
胸が締め付けられるような痛みが数分から10分程度続き、息苦しさや吐き気などが起こることもあります。
狭心症は心臓への血流が完全に断たれているわけではないので、数分以内あるいは少し休むと心臓の状態は回復してきて症状がなくなってきます。

●狭心症の放散痛タイプ
奥歯、のど、左胸、背中などの痛み、肩こり、胸焼けなどが数分から10分以内続きます。
心臓に関係する神経は腕や肩にもつながり広く分布しています。
そのため痛みを胸以外に広く感じたり、別の場所に感じる放散痛として起こることもあります。

●狭心症の症状を感じにくいタイプ
少し息苦しいぐらいにしか感じません。
糖尿病患者や高齢者の人で神経が障害されているような場合は、痛みを感じにくくなってくることが多いです。

■狭心症チェック

胸の痛み、動悸、強い息苦しさがあるかどうか?
運動時や興奮時に症状があるかどうか?
糖尿病があるかどうか?
高齢で脂質異常症、高血圧、肥満、喫煙のいずれかの要因があるかどうか?

■不安定狭心症

狭心症の場合は、動脈硬化の巣であるアテロームというものが血管のカベに出来てきます。
このアテロームが覆っているカベが破けると、血栓という血のかたまりできてしまいます。
この血栓により血液の流れが悪くなり、最終的には血液の流れと完全に遮断されてしまい心筋梗塞になってしまいます。
不安定狭心症は、心筋梗塞への前ぶれの症状ともいえます。

■狭心症の診断

・問診
・画像検査
・心電図の検査

これまでに感じたことのない胸の痛みを感じる場合は、一番気をつけないといけません。
運動と関係した歯の痛みや肩こりなど、普段感じないような症状を感じた場合も速やかに医療機関を受診しましょう。

■狭心症の治療法

狭心症と診断されたら、まず行うのが生活習慣の見直しや禁煙です。
さらに脂質異常症、糖尿病、高血圧、肥満の改善です。
狭心症の患者さんの場合、生活習慣の見直しとともに薬による治療が中心的・補助的な役割を果たします。
冠動脈の狭まりの程度が比較的軽い場合は、薬物療法が中心的な治療法になります。
冠動脈の狭まりの程度が重い場合は、カテーテル治療、バイパス手術が主体となり、それに補助的に薬を使用します。
カテーテル治療とバイパス手術の選択には、狭窄の場所、病気が何カ所あるか、患者の年齢、どのような持病があるかなどを総合的に判断して決めます。
カテーテル治療やバイパス手術が受けられない場合は、薬物療法が中心的になってきます。

●病状を鎮める狭心症の薬
・ニトログリセリンなどの硝酸薬 ・舌下錠(ぜっかじょう)
 舌の裏側に含むことで薬の成分を吸収させます。

・スプレー剤(噴霧剤)
 舌の裏側に吹き付けて使用します。
 口の中が乾きやすく舌下錠が溶けにくい人は、スプレータイプを使います。
 常に携帯して症状が起きたら使用します。

●病状を予防する狭心症の薬
・β遮断薬(ベータしゃだんやく)
 心拍数を下げることで心臓の仕事量を減らして狭心症を起こしにくくします。
 動脈硬化タイプの患者さんに有効です。
 運動のときに症状が起こる人は、β遮断薬で心拍数を下げることが大事です。
・Ca拮抗薬(カルシウムきっこうやく)
 Ca拮抗薬は血管を広げる特徴があります。
 血管けいれんタイプは、夜間や早朝に胸が苦しくなるという症状があります。
 それを予防するのにCa拮抗薬が効果があります。

●動脈硬化を改善する狭心症の薬
スタチン(脂質異常症の薬) スタチンはコレステロールなどの値が高い脂質異常症の治療薬として使われます。
スタチンは動脈硬化そのものを改善する効果があります。

●血栓を予防する狭心症の薬
アスピリンには血液をサラサラにして血液をかたまりにくくする作用があります。

■カテーテル治療による狭心症の治療法

カテーテルを足の付け根や手首などから血管の中に入れて心臓の血管まで運びます。
カテーテルの中をステントという網目状の金属が付いた金属を心臓の血管部分まで運びます。
ステントを血管が狭くなった部分に置き、中で広げて血管を広げます。
そしてステントを置いたままカテーテルを抜き取ります。
これをステント留置といいます。

■バイパス手術による狭心症の治療法

大元の血管から狭くなった血管の先の方に別の血管をつないで、血液の新たな通り道のバイパスを作るのがバイパス手術です。
バイパスには患者自身の足・胃・胸の脇などにある健康な血管が使われます。
新しい通り道を作ることで心臓に十分な血液が行き渡るようになり、狭心症を治すことができます。
バイパス手術は、胸を切開して胸の骨を分けて行います。
手術後は入院しながら心臓リハビリテーションを行います。
最終的に胸骨が治るまでには2~3ヶ月ほどかかります。