鼻中隔の曲がりが強く、鼻づまりや呼吸が苦しくなるなどの症状がある場合に鼻中隔彎曲症の治療を行います。
鼻中隔彎曲症の治療は点鼻薬や内服薬の薬物療法。
鼻中隔を真っ直ぐにする手術療法。




■鼻の名医(2012年4月時点)

東京慈恵会医科大学 准教授 耳鼻咽喉科
鴻信義(おおとりのぶよし)先生

■鼻中隔(びちゅうかく)について

鼻中隔(びちゅうかく)は骨と軟骨から出来ています。
鼻の真ん中にある仕切りが鼻中隔(びちゅうかく)です。
この壁は鼻の奥の方まで続いています。
鼻中隔(びちゅうかく)には、手前の方に薄くてやわらかい軟骨があり、奥の方には薄い骨と厚くてかたい骨があります。

■鼻中隔彎曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)

鼻中隔(びちゅうかく)の曲がり方は人によって様々です。
鼻中隔(びちゅうかく)は軟骨と薄い骨と厚い骨の3つで構成されています。
骨の発育スピードが違いによりつなぎ目のところで曲がったり、脳の重みが鼻にかかって曲がったりすると考えられています。
たいていの人は鼻中隔(びちゅうかく)が左右どちらかに曲がっています。
ただし曲がっているだけで症状がなければ治療の必要はありません。
曲がりが強くて、鼻づまりや呼吸が苦しくなるなどの症状がある場合に鼻中隔彎曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)の治療を行います。
人間の顔面は15~18歳の高校生ぐらいのときに発育が完了すると言われています。
鼻中隔彎曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)もその頃に完了すると考えられています。
成人になってから鼻中隔彎曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)の症状が出ることもあります。
鼻カゼを引いたり、花粉症をきっかけにして鼻づまり感を自覚するようなこともあります。

■鼻中隔彎曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)の症状

・鼻づまり
 鼻中隔が出っ張り狭い方の鼻の通りが悪くなるために鼻づまりが起こります。

・頭が重い
 鼻づまりのために頭が重いという症状が出る人もいます。

・口呼吸
 鼻が詰まっているために口呼吸という症状が現れます。
 口呼吸になると喉が乾燥してカゼを引きやすくなったりします。
 集中力の低下、睡眠障害などの原因にもなります。

・鼻血
 曲がって出っ張ったところで刺激を受けやすくなり鼻血が出ます。



■鼻中隔彎曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)の検査

鼻中隔彎曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)の検査としては、視診、画像検査、鼻腔通気度検査などがあります。

●視診
内視鏡や鼻鏡で直接鼻を診て、鼻中隔(びちゅうかく)がどちらに曲がっているかを観察します。

●画像検査
X線やCTで鼻中隔彎曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)の曲がりをより詳しくみます。

●鼻腔通気度検査
鼻の通り具合を数値で表し、実際どれぐらいの通りがあるかを検査します。

■鼻中隔彎曲症と慢性副鼻腔炎

鼻中隔彎曲症があると慢性副鼻腔炎を同時に起こすことが多いとわれています。
狭い方に副鼻腔炎が起こると、鼻水が出にくくなり、治りにくくなって病気が慢性化してしまうことになります。

■鼻中隔彎曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)の治療法

鼻中隔彎曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)の治療としては、薬物療法や手術療法があります。
まず点鼻薬や内服薬の薬物療法を行います。

鼻中隔彎曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)の症状が強い場合、曲がりの程度が強い場合は手術を行います。
手術では鼻中隔(びちゅうかく)を挟んでいる左右の粘膜を一度剥がします。
曲がった部分を切り取って取り出します。
何もなくなった所に、上の方にある比較的真っ直ぐな部分を下の方にずらし、一回剥がした膜を元に戻します。
取り出した骨は元に戻しませんので、形体的に少し弱いところが出来てしまいます。
ただし術後2~3ヶ月経つと何もない部分に結合組織という肉が出来てきて、十分骨の代わりに機能してくれます。
曲がりを治しても相対的に鼻腔が狭くなることもあります。
そのため左右のバランスを保つ為に鼻甲介(びこうかい)という部分を少し削ったりして、左右の通るバランスをとるようにします。

手術後は安定しないために、厚さ1mm程のシリコン膜を折って鼻の中に入れ、左右から糸で縫い付け形を安定させます。
入れている期間は1~2週間ほどになります。
この手術は鼻の骨の形成が完了して以降でないと行えません。

鼻中隔彎曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)の治療と同時に、慢性副鼻腔炎の手術も同時に行うことが多いので、鼻づまり以外にも嗅覚障害、鼻水の症状も同時に良くなることが多いです。