白衣高血圧は診察室での血圧が140/90mmHg以上、家庭血圧が135/85mmHg以下の場合の高血圧。
仮面高血圧は、診察室での血圧は140/90mmHg以下、家庭血圧は135/85mmHg以上の場合の高血圧。
夜間高血圧は寝ている間も血圧の高い状態の高血圧。
早朝高血圧は朝の起床前後の血圧が高い高血圧。
ストレス性高血圧は仕事などのストレスが原因で起こる高血圧。
治療抵抗性高血圧は高血圧の薬を飲んでいるのに血圧が下がらない高血圧。




■血圧について

血圧は一日の中でも変動しています。
正常な血圧のリズムは、起きて活動している時には上がっていて、睡眠中は低くなっています。 そして起きるとまた上がるという一定のリズムを刻んでいます。
夜は昼間に比べて20%ほど下がると言われています。
血圧は自律神経の影響を受けて変動していると考えられています。
自律神経には交感神経と副交感神経があります。
交感神経は、昼間に全身の臓器に血流を送り届けるため、血圧を上げて心拍数を上げ血液を送っています。
夜間の寝ている間は、臓器の活動が低下して血流を必要としなくなるため、副交感神経が働いて血圧が下がり、心拍数が下がります。

■高血圧の名医(2012年3月時点)

自治医科大学 教授 循環器内科
苅尾七臣(かりおかずおみ)先生

■血管について

血管は内膜、中膜、外膜という3層構造になっています。
血管の中から血管壁を押す力を血圧といいます。
血圧が高いと内膜が障害され、コレステロールが染み出したりして動脈硬化が起こったりします。
中膜には筋肉組織である平滑筋細胞(へいかつきんさいぼう)があります。
血圧が高まると平滑筋細胞が分厚くなり、血管の内壁が狭くなってしまうことがあります。
血管が狭くなると血管抵抗が上がり、血圧が上昇してしまいます。
高血圧は動脈硬化を引き起こし、動脈硬化は高血圧をさらに促進させるという悪循環に陥ってしまいます。

■高血圧による動脈硬化の影響

高血圧は普通症状は出ませんが、様々な病気を進行させてしまいます。
心臓では心筋梗塞や狭心症を、腎臓では腎硬化症を、脳では脳梗塞や脳出血、認知症などのリスクを上げてしまいます。

■診察室血圧(診察室での血圧)

140/90mmHg以上 診察室という特殊な条件下で白衣を見ると血圧が上がってしまいます。
精神的なストレスで、診察室での血圧が少し高くなってしまいます。

■家庭血圧(家庭で計った血圧)

135/85mmHg以上 家庭でリラックスしているので基準値も低くなります。
家庭血圧は朝と晩に測定します。

■家庭血圧のメリット

・日常生活の血圧が把握できる
・高血圧のタイプが分かる
・薬の効果の判定に役立つ
・合併種などの危険を予測できる

■白衣高血圧(はくいこうけつあつ)

白衣高血圧(はくいこうけつあつ)とは、診察室での血圧が140/90mmHg以上ですが、家庭血圧が135/85mmHg以下の場合の高血圧をいいます。
通常の血圧は正常ですが、診察室のときだけに精神的なストレスを受けて血圧が上がります。
しかし将来、高血圧に移行しやすいと言われています。

■仮面高血圧(かめんこうけつあつ)

仮面高血圧(かめんこうけつあつ)とは、診察室での血圧は140/90mmHg以下ですが、家庭血圧は135/85mmHg以上の場合の高血圧をいいます。
仮面高血圧は自分で計らない限りは見つけることが難しいとされています。

■夜間高血圧(やかんこうけつあつ)

血圧は普通睡眠中は下がっているものですが、夜間高血圧(やかんこうけつあつ)では寝ている間も下がらずに血圧の高い状態が続いてしまいます。
夜間高血圧は、内科の病気が隠れている場合が多いです。
身体の中から塩分や水分を排泄できない病気、心不全、腎不全、自律神経障害、睡眠時無呼吸症候群、不眠などがああります。

■早朝高血圧(そうちょうこうけつあつ)

早朝高血圧(そうちょうこうけつあつ)とは、朝の起床前後の血圧が高い高血圧です。
135mmHgよりも高ければ早朝高血圧が疑われます。
さらに起床前後に血圧が急上昇する高血圧もあります。
この高血圧はモーニングサージ型と呼ばれ、特に危険な高血圧とされています。
早朝高血圧は、血管が硬くなって動脈硬化が進行している人、多量の飲酒の習慣がある人、睡眠時無呼吸症候群や不眠がある人に多く見られます。

■ストレス性高血圧

ストレス性高血圧とは、仕事、育児、介護などのストレスが原因で起こる高血圧です。
ストレスを感じている間中、血圧が高い状態が続きます。
ストレスで血圧が上昇しても、すぐに下がる一過性のものであれば問題はありません。
人によって何がストレスを感じる原因なのかは違いがあります。
何が原因で血圧が上がっているのか、何が自分の一番弱い部分なのかを知って対処することが大切になります。



■血圧の測り方

血圧の測定は上腕で行うのが基本です。
手首は少し不正確になることがあります。
上腕部分は心臓の高さになり良いと言われています。
心臓より低い位置で測ると血圧が少し高めに出たりすることがあります。
シャツ1枚であれば上から巻いても大丈夫です。
家庭血圧は、毎日朝と晩に測定します。
朝は起床から1時間以内、トイレを済ませてから、食事前や血圧の薬を飲む前に測ります。
晩は就寝前が良いです。
お風呂の直後、お酒を飲んだ後でも寝る直前に測ります。
診察を受ける場合は、診察前の一週間のうちの少なくとも3日以上測って記録しておくと良いです。
最初の1回目は、血圧が少し高く出てしまうので、2~2回血圧を測って平均値を記録しておきましょう。
またストレスを感じたときや、調子が悪い時でも測っておくと良いです。

■質の良い睡眠で高血圧改善(高血圧治療のポイント)

睡眠時無呼吸症候群や不眠がある場合は、その治療を行いましょう。
睡眠のポイントとしては、肥満の改善、アルコールを控える、シーパップ治療などがあり、睡眠時間を確保して、寝る時間を一定にすると良いです。

■有酸素運動で高血圧改善(高血圧治療のポイント)

運動は肥満の改善だけではなく、血管の改善効果があります。
運動すると血流が速くなり、血管の内膜にある内皮細胞が刺激され、血管しなやか物質が血管の内側と外側に分泌されます。
しなやか物質には、血液を固まりにくくし、また中膜にある血管の筋肉をやわらかくする作用があります。
血管に良い運動は、少しきつめの運動が良いとされています。
心拍数が90~110程のしんどいぐらいの負荷をかけた方が良いです。
ウォーキングや水中歩行などの有酸素運動が高血圧改善の効果が期待できます。

■食生活の改善で高血圧改善(高血圧治療のポイント)

・高塩分・高脂肪の食べ物を避ける
・お弁当などを買うときは成分表をチェックする

病気の現状を知り、何が高血圧改善のポイントであるかを理解し、改善していくことが大切です。
魚や野菜中心の食事、飲み水は水やお茶にして糖分を減らす。
高血圧の人の1日の塩分摂取量は、6g未満になります。

■禁煙で高血圧改善(高血圧治療のポイント)

タバコは血管をれんしゅくさせたり、血液を固まらせやすくしたり、血圧を上げてしまいます。

■薬による高血圧の治療

・血管を広げる薬
 カルシウム拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、レニン阻害薬

・心臓の過剰な働きを抑える薬
 β遮断薬(べーたしゃだんやく)

・余分な塩分や水分を排泄する薬
 利尿薬

・複合剤
 ARBとカルシウム拮抗薬、ARBと利尿薬

薬による高血圧の治療には、薬の組み合わせ、薬を飲むタイミング、薬の量の3つの要因があります。
基本的には1つの薬を1回の服用で24時間効く薬を服用します。
効かなければ少しずつ量や種類を増やしていきます。
高血圧は、生活のリズムや生活習慣を改善していくことで、高血圧の薬を軽減できたり、高血圧の薬の量を減らせたり、高血圧の薬を止めることができるようになることもあります。