腸の神経細胞はセカンド・ブレインと呼ばれ、不規則な生活により変形すると便秘が起こりやすくなります。便秘解消の基本は、規則正しい生活です。便秘解消呼吸法。




■便秘の名医

順天堂大学附属 順天堂医院 便秘外来
小林弘幸(こばやしひろゆき)先生

■セカンド・ブレイン(第二の脳)について

腸にはセカンド・ブレイン(第二の脳)と呼ばれるものがあります。
便秘の多くの原因は、セカンド・ブレイン(第二の脳)が関係していると考えられています。
通常便は大腸の中を動いて行き、直腸から肛門まで行きます。
実は排便のきっかけになっているのが食事とされています。
食物が口から食道・胃を通っていきます。
胃に食べ物が入ると、腸を動かすスイッチが入ります。
食べ物の重さで胃が下がり、腸が刺激されます。
すると腸が蠕動運動(ぜんどううんどう)を始め、便が動き始めます。
通常、大腸の上の部分から肛門まで1時間~3時間で運ばれます。
ただしこのときはまだ便意はありません。
ところが直腸に来たときにセカンド・ブレイン(第二の脳)が感じて便があることを脳に伝え便意を感じます。
そして肛門が開いて排便されます。

■セカンド・ブレイン(第二の脳)は腸の神経細胞

セカンド・ブレイン(第二の脳)の正体は、腸の組織にある神経細胞です。
神経細胞とは、一般的に脳細胞と言われています。
脳には神経細胞が約150億個あり、細胞同士で信号をやりとりして、物を考えたり、身体の動きを制御したりしています。
この神経細胞が、脳の次に多いのが腸になります。
小腸から大腸の壁に1億個もの神経細胞があります。
それが信号をやりとりして、脳とは関係なく独自に腸を動かしたり、食べ物から栄養分を取り出す指令を出しています。
神経細胞が多い腸は、環境やストレスの影響を受けやすくなり、緊張してトイレに行くなどの行動を起こしたりします。



■鈍感腸(どんかんちょう)について

便秘の患者さんの場合、神経細胞にある変化が起こっている場合があります。
神経細胞が異常な尾を引いたり、正常な人よりも7倍~10倍も大きくなったりします。
そして便が直腸におりてきても、神経細胞が便に反応しなくなってしまいます。
すると脳に便があることが伝わらなくなり、便意を感じないために便が溜まり続けて便秘になってしまいます。
これを鈍感腸(どんかんちょう)といいます。

■自律神経と便秘

神経細胞がおかしくなってしまうのは、生活習慣に原因があります。
便秘の人の不規則な生活は、睡眠と食事のリズムがバラバラになっている傾向があります。
こうした不規則な生活は身体に異変をもたらします。
それが自律神経の異常です。
自律神経とは、自分の意思とは関係なく作用する神経のことです。
自律神経には交感神経と副交感神経の2種類があり、交互にバランスを取りながら活動しています。
交感神経の優位が神経細胞の変形を招いてしまいます。
交感神経が優位になると身体が緊張するため、抹消神経の血管が細くなり腸が動かなくなってきてしまいます。
交感神経が活発になると腸の動きが鈍くなり、便が1ヶ所に長く留まるようになってしまいます。
すると悪玉菌が増殖してしまい、腸に炎症が起きてしまいます。
炎症が起きることによって神経細胞が変形すると考えられています。
副交感神経が優位になると身体がリラックスするため、血管が開いて血液が流れるようになり、腸が動くようになります。

■便秘解消のために

便秘解消の基本は、規則正しい生活になります。
食べ物だけでは腸の動きは良くなりません。
また運動だけの極端な方法でも便秘は解消されません。

■便秘解消呼吸法

5秒かけてゆっくり鼻から息を吸います。
口をすぼめ、10秒間かけてゆっくりと口から息を吐き出します。
1回5分、朝昼晩の1日3回行います。
吸った時間の倍かけて息を吐きます。
1:2の割合で、吸って、吐くという呼吸法を行うと、副交感神経をアップさせることができます。