日本では変形性ひざ関節症の疑いがある人が約2400万人いるといわれています。
男性は約800万人、女性は約1600万人とされています。
50歳以上の2人に1人が変形性ひざ関節症で悩んでいます。
ひざの軟骨は滑らかに出来ているので立ったり歩いたりするときに骨同士が直接ぶつからないようにクッションの役割を果たしてくれています。
変形性ひざ関節症とは、加齢などにより軟骨が磨り減っていき体重を支えるクッションがなくなってしまい痛みが起こる病気です。
軟骨が磨り減ってくると、滑膜(かつまく)という膜が磨り減った軟骨を除去するために関節液を過剰に分泌し、水が溜まった状態になることがあります。

ひざの痛みがある人は早い段階で検査を受けて自分のひざがどういう状態なのかということを知ることが大切です。
その上で治療法を選択することが重要です。
どんなに重症なひざであっても運動が大事であり、手術を受けるとしても運動していないと回復も遅くなります。
変形性ひざ関節症の治療は運動が基本となります。




■変形性ひざ関節症の原因

・加齢
・筋力の低下
・O脚
・肥満

年齢を重ねると軟骨の質も劣化して磨り減ってしまう原因となります。
軟骨は磨り減ってしまうと自然には再生しません。
実は歩くときには大きな衝撃が加わっていてその衝撃を筋肉が吸収してくれています。
そのためひざを支える筋力が低下すると、ひざ関節への衝撃が強くなってしまいます。
O脚になるとひざの内側に体重がかかるようになり部分的に軟骨が磨り減りやすくなってしまいます。
歩行では体重の2〜3倍の負荷がかかり、階段の昇り降りでは3〜4倍の負荷がかかり、ジャンプをしたときは7倍もの負荷がひざにかかります。
そのため数キロ体重が増えるだけでもひざに大きな負担となります。

■肥満はアディポカインを分泌し軟骨が壊れやすくなる

脂肪細胞からはアディポカインという物質が産生され炎症を起こしています。
アディポカインは特に内臓脂肪から分泌され、体中に炎症が起こります。
そのために関節の炎症も起こり軟骨が壊れやすくなってしまいます。

■関節水腫(かんせつすいしゅ)について

関節水腫(かんせつすいしゅ)とは、ひざに水が溜まった状態をいいます。
関節の軟骨が磨り減ると削りかすを滑膜が異物として認識してしまい、排除しようとして炎症が起こり関節液が出てひざが腫れあがってしまいます。
ひざから水を抜いたときは、抜いた後にヒアルロン酸やステロイドを注射して炎症を抑えたりします。

■痛みを抑える薬

●注射
・ヒアルロン酸
・ステロイド

●飲み薬
・消炎鎮痛薬(貼り薬もあります)
・解熱鎮痛薬



■手術療法による変形性ひざ関節症の治療法

●骨切り術(こつきりじゅつ)によるO脚の治療
骨切り術(こつきりじゅつ)は、O脚になった脚を真っ直ぐにして骨と骨の隙間を開ける手術になります。
ひざ関節の近くにある脛骨(けいこつ)と呼ばれる脛(すね)の骨の一部を切ります。
切った部分をくさび状に広げ、広げた部分に人工骨を入れて固定します。
さらに金属製のプレートとスクリューでしっかり固定します。
入院は一ヶ月程度で、手術後の制限はありません。
骨切り術の対象は、比較的若く活動性の高い人(50〜70歳代)、O脚やX脚の人になります。

●人工関節全置換術(じんこうかんせつぜんちかんじゅつ)
人工の関節に置き換える手術になります。
傷んだ関節(下側)の表面を平坦にしてインプラントを設置し、大腿骨側(上側)にもインプラントを設置します。
耐久年数は20年ほどといわれています。
人工関節置換術の対象は60〜65歳以上になります。
入院は3週間程度になります。
手術後は和式生活が困難になるという制限が残ります。
手術後は感染症に注意が必要になります。

●単顆型人工関節置換術(たんかがたじんこうかんせつちかんじゅつ)
単顆型人工関節置換術(たんかがたじんこうかんせつちかんじゅつ)とは、ひざの内側だけが悪い場合に局部的に人工関節に置き換える手術をいいます。
耐久性で全置換術に劣るというデメリットがあるので若い人向きではありません。

■MRIマッピングによる軟骨検査

この検査では軟骨が磨り減りやすい状態であることを痛みを感じる前から調べることができます。
MRIマッピングでは、軟骨のプロテオグリカンの量を映し出し調べることができます。
ひざの軟骨の機能にはプロテオグリカンという物質が重要で、プロテオグリカンには軟骨の中に水を引き付ける作用があります。
これが年齢や軟骨の変性で減ってしまうと軟骨に水をためておけなくなって機能が低下してしまいます。

■変形性ひざ関節症予防ポイント

・筋力をアップする
・肥満を改善する

ひざの痛み改善には適切な種類の運動が必要です。
ひざに負担をかけずに太ももの筋肉を鍛えることが大切になります。
ウォーキングなどが効果的ですが、ウォーキングでも痛みがある場合は水中ウォーキングがよいです。
固定式自転車などもひざへの負担が軽く筋肉を鍛えることができます。
痛みがある場合でも、痛み止めの薬・装具+適切な種類の運動を行うこともポイントです。
運動を数ヶ月続けても改善しない場合は手術を検討しましょう。

■脚上げ運動で変形性ひざ関節症の痛み改善

仰向けになり、片ひざを立てます。
もう片方の脚は真っ直ぐ伸ばし、つま先を天井に向けます。
10〜20cm程度上げて5秒間キープします。
ゆっくり下ろします。
反対側も同様に行います。
片脚10回ずつ行います。
太ももの前側にある大腿四頭筋(だいたいしとうきん)が鍛えられます。

■脚横上げ運動で変形性ひざ関節症の痛み改善

横向きで寝ます。
床側の脚を曲げ、もう片方の脚を真っ直ぐ伸ばします。
伸ばした上側の脚を10〜20cm程度上げて5秒間キープします。
ゆっくり下ろします。
反対側も同様に行います。
片脚10回ずつ行います。
太ももの外側にある外転筋(がいてんきん)が鍛えられます。

■ボールはさみ運動で変形性ひざ関節症の痛み改善

ゴムボールを太ももの間でギュッとはさみ5秒間キープします。
力を抜きます。
10回行います。
太ももの内側にある内転筋(ないてんきん)が鍛えられます。